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Looming ~樹海~ 裏話(ネタバレ注意)





初めに

このゲームは主人公末永星等(すえなが・せいら)からの視点で描かれており、当作品の事実とは異なる部分も多いです。同時に、作者の考えが全て反映されているわけでもありません。例えば星等が「この毒鶴茸も菌輪を作るタイプみたいだ」と思ったとしてもそれが事実とは限らないし、星等が「この世の常識と規範に適合しない自分の存在が間違ってる」という考えを持っていたとしてもそれは作者の考えとは限らないということです。あくまで星等というフィルターを通じて出力された内容に過ぎません。
つまりゲーム中に描かれていない事実が実はたくさんあるのです。ここではそんな事実の他、設定や作者の想いなどを中心に解説していきます。

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このゲームの制作経緯

このゲームもHeyMyHoneyと同様に当初の構想から何回かの変遷がありました。
まず最初に浮かべたイメージは「陰鬱でシリアスなゲームにしよう」でした。いわゆるコミカル路線のものばかり作っていた反動ですね。

当初は自然愛好家で不登校な星等が、ふとしたきっかけで樹海の世界(森が延々と続く世界)に飛ばされ、現実世界へと戻るためにやむなく冒険するという一人パーティRPG(謎解き+死にゲー要素のある難易度)のようなものでした。言葉は話さないがそこで生きている先住民や、奇妙な鳴き声の不思議な生き物がいたりと、どこか現実離れしている広大な森を散策します。会話シーンはほとんどなく、星等の内面の葛藤が大部分を占めます(ここは本作とも似ています)。そして精神をボロボロにしながら様々な試練を乗り越えて、不登校少女というイメージが湧かないほどたくましく変化していくという展開を想像していました。世界観、登場キャラクターに加えて独特の言語なども作ってみたりと、設定はかなり作り込んだのですが、途中で情熱が尽きてしまったのか放置気味となり、気が変わった結果改変しようということに…。
その構想が一本道のノベルゲースタイルです。長編小説を書きたいという欲が昔からあったので、RPG要素を排除していっそ小説にしてもよさそうと思ったのです。しかし就活等のいろいろなことと重なり、ゲーム制作意欲もろともその構想の情熱もいつしか消滅……。

時が経って、HeyMyHoney完成後に再度向き合ってみて、好きなライトノベルを読んで小説の面白さを再度目に焼き付けたのち、制作再開です。ただし、ストーリーにおいて万人に受けやすいとされる「伏線」要素を作ることに億劫さを感じていました。好きな要素ではあるのですが、作り手側の立場になると、「みんなやってることだし…俺はやらなくてもいいんじゃないか」と思って気乗りしなかったのです。
そこで浮かんだのが、マルチエンディングのアドベンチャースタイルです。アドベンチャーではプレイヤーが選ぶ選択肢によって「撒いた伏線」と「回収される伏線」のタイミングが異なってきます。つまり、伏線を撒くタイミングと回収するタイミングに気を使う必要がないのです。実際今作では様々な伏線を多方面にばら撒き、それらを別の多方面で回収したりしなかったり(または裏話ページで回収したり)する方式でいきました。一度プレイしただけでは把握しきれないものにはなったので、裏話ページも活用してもらおうというわけです。
あと、実はアドベンチャースタイルになるまではトゥルーエンドを作る予定がありませんでした。つまり、後味の悪い感じで終わらせる予定だったんですね…(そういう話嫌いじゃないので)。ただやっぱり大多数はハッピーエンドを求めてるし、アドベンチャーだから1つだけトゥルーエンドを作ってもいいだろう、と。大量のバッドエンドを経験した後にくるハッピーエンドという展開も結構好きだったので、それを採用したわけです。
さらにそんな経緯とHeyの名残が要因かどうか分かりませんが、死にゲー要素があってもいいかと思いました。間違った選択肢を選ぶとすぐに死ぬようなゲーム(昔ホームページを使ったそんなゲームあった気がします)です。本作では、熊などによる即死の危険を感じつつ樹海を楽しむ樹海散策シナリオと、即死の危険がない代わりにどこか緊迫した状況の中戦い続ける都会出陣シナリオが混在している異色な一面がありますが、これはそんな死にゲー要素や当初の死にゲー高難度RPG要素と、不登校少女が幸せを掴み取るまでのストーリーを無理やりくっつけた結果だったりします。メインのストーリーラインだけを読もうとしている人にとっては「樹海散策パート、いる?」「死にゲー要素、いる?」となる構成になっています。いるかいらないかで言えば、いらないかもしれません…w ただ、樹海での経験をメインのストーリーラインに絡ませていて、そこは面白いかなと思っております。

ゲーム内容としては、プレイヤーが主人公と一体化してトゥルーエンドを目指すというよりかは、病んだ主人公をプレイヤーが見守りつつトゥルーエンドへと導いてあげる…そんな形式となっています。
「不登校少女が樹海をさまよう」という部分は当初から不変で、再度そのストーリーを書こうと思って主人公のキャラを設定した際にキーワードとなったのが、不登校、いじめ、孤独…。前二つに関しては経験がないので、ネットでいろいろ調べて構想を練りました。そして、いろいろな感情が湧いてきたのです。
特にいじめ問題。いじめは加害者が一時の軽い気持ちでやってしまうものであるのに対し、それの被害者は一生残り続けるトラウマになりやすいという事実。あまりにもタチが悪く不平等で、理不尽な非人道的行為だと思い知りました。悲しいことにこの事実を知らない人が大勢いるようで、その点もまたタチが悪いです。似ている行為にレイプ(強姦)がありますが、こちらは犯罪になっていて法的に取り締まられており、残酷行為だということが広く認知されているのに対し、いじめは犯罪になっておらず(「いじり」と「いじめ」の境界の基準が定めにくいなどの問題で)、手軽にできてしまう点で全世界で問題となり続けています。
そんなトラウマと戦う不登校主人公が救われるストーリーとはいったいどんなものだろう…? そう思い、単なる樹海散策死にゲーだけでは終わらないストーリーを考え始めたのです。

文章が全て縦書きなのは「小説スタイル」だからです。ノベルゲーよりラノベ(小説)に思い入れがあるので、横書きよりも好きなんですよね。
キャラクターのグラフィック(立ち絵など)が一切無いのも「小説スタイル」だからです。本来小説というのはキャラクターの外見を読み手に想像させるものです。そうすると、読み手がそれぞれ都合の良いイメージを想像してくれるので、ある意味万人に(ほどよく)受ける部分となるのです。小説独自の面白さだと思っています(ただ、外見が断定されてない寂しさを感じるかもしれません。自分も昔はそう思ってました)。

一応、反省点はあります……まぁそれはこのページの最後でお話しましょう。

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ゲームタイトルについて

Loomingとは実物よりも高い位置に見える「浮き上がりの蜃気楼」を指す言葉です(「迫りくる」などの通常の意味とは無関係)。実は図書の本「蜃気楼のでき方」の一部にも記載があったりします。ずばり直接的には天空都市を意味しており、それに想いを馳せていた主人公が最終的に本当にたどり着いてしまう場所でもあり、希望を捨てずに頑張り続けることの大切さを表した存在でもあります。

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青色と白色について

「青」と「白」(と一部「水」や「銀」など)の色を表す文字や、色を連想する文字がよく出てきます。青は樹海、白は都会を表していて、ある種の属性を含ませています(少々大雑把ではありますが)。また、垢抜けていない頃の星等は、白いもの・輝いているもの(垢抜けていると感じたもの)に対して嫌悪感を表す意味で「不快に眩しい」「ギラギラと輝いている」というような形容をよくします。

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青影樹海について

インスピレーション元はもちろん青木ヶ原樹海(富士の樹海)であり、モデルになった要素も多いですが、相違点もあります。例えば青木ヶ原樹海の地盤は溶岩ですがこちらは通常の土であり、樹海を横断するほどの遊歩道が作られたりしていますがこちらはほとんど無かったりします。内部の各要素としては、毒鶴茸やジャングルジムなどは青木ヶ原樹海からのモチーフである一方、空(くう)や天惠井戸はオリジナルであったりします。

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末永星等について

「社会生活に悩み心が病んだ人」を表した存在であるため、設定としては女子高生としましたが、一部のシナリオを除き女子高生感をあまり出していません。老若男女、美醜問わずそのような悩みを抱えている人はいて、そういう経験をしてこなかった人にそういう人々の葛藤が伝わって欲しいという思いがこもっています(とはいえ最終的に女の子とした理由は、より悲壮感が出るから…かもしれません)。
また、そういう悩みを抱えている人たちにも一部共感してもらえればという思いもあります。一部というのは、精神障害の症状は千差万別で断定できるものではないからです。部分的にこういう方向性の病み方もあるはずだと思ってもらえればと思います。

創作世界の登場人物(特に主要人物)は得てして美男美女だったりしがちですが、作者はそんな風潮をあまり良く思っていません。容姿が普通以下の人間にも華を持たせるべきです。今作では星等のグラフィックが無いのはもちろん、外見を断定するような描写もしていないので、容姿の良し悪しが関与しないストーリーになっています(例えば美人だから男が勝手に寄ってきてくれるような甘いシナリオはありません)。
星等は自身の容姿を綺麗とは思っていないのですが、だからといって醜いとも限りません。綺麗なのに「自分は醜い」と悩む人もいるからです。

このゲームのポイントとして、星等は精神的に追い詰められるような出来事を直接被って病むケースがほとんどないことです(強姦など一部を除く)。言い換えれば、(普通の人の感覚では)それらが自殺をするほど嫌なこととは思いにくいケースが多かったはずです。アルバイトルートにしろ、おしろい学級ルートにしろ、ひきこもり生活を続けるルートにしろ、星等の周りには温かい人ばかり(=Fのような人がほぼいない)にも関わらず、星等は病んでしまい自殺に至ります。星等を自殺に追い込んでいるのは星等自身。自殺とはまさに文字通り、星等が自身の心を殺した結果生まれたものが多いのだと思います。
このような経緯で病んで自殺を選ぶ人を「弱い人」だと言うのは簡単です。でも、どんな人にも心が弱くなり、ネガティブになったり失敗が続いて悪循環になったりすることはあるので、少なくとも皆、共感はできるはずです。
自殺という選択は「良くはない」と思っています。考え方次第で、この世を楽しむ方法はいくらでもあるからです。逆に、考え方次第でいくらでも辛い生き方ができてしまうのも事実です。
また、自殺を強く希望する人を説得するための言葉はそれほど多くありません。なぜならこちらは無責任なことしか言えないからです。生きたいと思うか死にたいと思うかの本質は、その人の感情でしかないと思っています。その人の現状がどうかではありません(起因することはあるけど本質ではない)。つまり自殺希望者を説得するセリフは、「あなたはこの世で生きていく意味があるし、資格もある。なによりこの世には楽しいことが多い! だから自殺なんかするべきじゃない!」のようなものになってしまうでしょう。そんな精神になれない(なれそうもないと思った)から自殺を希望してしまうのであり、またこちらもその人の希望を邪魔し続ける権利もないだろうと思ってしまい、最終的には自殺を見送ってしまうのかもしれません…。
「極めて嫌なことがあった時にいつもちらつく最終手段がある。自殺だ。この世の全てを無にできる魔法のようなもの。」自殺の唯一のメリットかもしれません。

固有の設定としては作中で語っているとおりです(自然が大好き、絵を描くのも好き、家やインターネットは好きではない、本の速読が得意であるなど)。「星等」という名前は「夜空に輝く星と同等の存在に育ってほしい」という母の願いが込められています。母も星等と同じく星には特別な思いがあったのです。これはトゥルーエンドのクレジット背景の絵にも通じる部分です(トゥルーエンドの絵の項にて)。

特殊なシナリオが一部あります(統合失調症ルートF殺しルート)。これらの詳細はそれぞれの項にて。

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タイトル画面左側のシルエットについて

ワンピースを着ている人のように見えますが、誰でしょうね? そんなキャラいましたっけ?

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悪夢について

過去や直近の負の感情が映像化されたもので、星等にストレスが溜まっていることを表す演出です。事実とリンクしている内容のものはなく、それぞれが個別で存在しているだけです。
この空の背景は逆光を意味しており、形勢不利であることや、青と白の項でも説明したような「不快な眩しさ」を表現したものになっています。(トゥルーエンドに出てくる空の背景とは真逆の意味です)

悪夢のシナリオがあるのは序盤だけであり、中盤以降は悪夢のシナリオがないことを疑問に思った人も多いでしょう。それは星等のストレスが解消されたわけではなく、単にゲームのテンポが悪くなると感じて省いただけです…。なのでどこか中途半端な要素になってしまっている感じはあります(反省点)。

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星等の母親について

母はいわゆる毒親で、星等自身は母を味方だと思っていません。しかし母は星等に対する愛情を持っています。末永家は父親が逝去したことによる母子家庭であるため、母は精神的負担の大きい生活を強いられている事実がまずあります。加えて星等が不登校で将来に不安のある状態であることに焦りと危機感を感じるものの、そんな星等をどう扱っていいか分からず、「早く学校へ行け」と急かすことしかできない状態に陥っているのです。ただ、必要最低限の食事とお小遣いをあげることだけはしており、星等が母を嫌いになりきれない要因の一つにもなっていたりします。
悪意を持っていないにも関わらず子供に恐怖感や嫌悪感を与えたりしてしまっている親というのは、珍しくないと思っています。親は子供にとって最後の味方にならなくてはならず、切羽詰まった時でさえ憩いの場は家ではなく樹海であると思ってしまう星等は、決して良い家庭環境とは言えないでしょう。

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空(くう)について

一部の空は雑草が不定期に刈られているが、これは白銀森林保護協会によるものではなく、石原によるものです。
汀空、朱火空、凪沖空、大灘空の4つがあり、朱火空以外の3つは海を連想する名前です。朱火空だけは違いますが、特に深い意味はありません(適当につけてしまってます。統一しても良かったかも…)。
ちなみに些細な不満ですが、「空(くう)」というように毎回ルビを振る必要があるというところが…。

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巴閒神社について

呪いの絵馬が書かれた奉納所のあるいかにもな縁切り神社ですが、その呪力が実際に発生する描写は一つもありません。これは作者自身がこういうものに頼ることに関して否定的で無意味だと感じているからです…(書いた人の憂さが少し晴れる程度の意味はありそうですが)。
図書の本「面白神社の旅 ~青影郡編~」にも記載してある通り、縁切り神社というものは実際にあります。京都にある安井金比羅宮が有名なようですね(巴閒神社のモデルではありません)。
気づいた人もいるかもしれませんが、泉の名前があります(詳しくは泉の項にて)。泉以外にも佐々原茗榴(ささはら・める)の名前が書かれ、さらに一部のルートではF、J、Cも書かれます。彼女らの名前には「儛」や「榴」など、人名用漢字ではない漢字が含まれています。つまり戸籍の名に使えない名前なので、現実世界でこれらと同姓同名の人物はいません。これは無意識に現実世界の同姓同名の人を呪っているという現象をなくすための対策として考案したものでした。…………当初はそのはずでした。とあるルートにて、それらの人物以外を呪うシーンを作ってしまっていたことをゲーム完成後に気づきました…。彼らと同姓・同名の方々、呪いたい意図などないのでご安心ください。そして悪霊さん、彼らを呪わないであげてください。宜しくお願いいたします。

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毒鶴茸(ドクツルタケ)について

「殺しの天使」の異名通り、死期が近づいた生き物に寄り添うような存在として描いています。星等が自殺を図る時にも周りに生えていたりします。猛毒キノコという事実とは裏腹に白く凛々しい外見をしており、青木ヶ原樹海でも季節によってはよく見かけるキノコだそうです。
ちなみに大灘空の隅に生えている菌輪のキノコは毒鶴茸ではありません。原茸(ハラタケ)です(とあるシナリオでは明らかになります)。毒鶴茸に似ている白いキノコはいくつかあり、間違いやすいというあるあるネタを入れて見ました。
おしろい学級で自信を深めた星等が夜の樹海へ出かける時に着用した白いワンピースに関して、星等が「まるで毒鶴茸みたいな姿だ。でも毒鶴茸とは違い誰かを傷つけたりしないのだから問題ない」と自称しますが、もし毒鶴茸に感情があるとしたら彼らもきっとこう思っているはずです…w たまたま人間にとっての猛毒要素を持っていたというだけで、彼らにとっては偶然なのかもしれません。実際、毒キノコが毒を持つ理由は未だ解明されていないようです。

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悪茄子(ワルナスビ)について

汀空で勢力拡大し、花ゲリラをした星等に自殺念慮を抱かせるストーリー序盤のボスのような存在です。勢力拡大後に石原が汀空の草刈りをしたことで、悪茄子の勢力は一旦鳴りを潜めます。しかし作中でも語られている通り非常に駆除するのが困難な性質を持っており、刈っただけでは根絶には至りません。実際の根絶には除草剤が一般的のようです。森林保護協会員はもちろん石原も除草剤の散布は実施しないのですが、3年後のトゥルーエンドでの汀空には悪茄子以外の雑草で賑わっており、いくらしぶとい悪茄子といえども自然淘汰、世代交代がおこなわれていたりします。
とあるルートで星等は「日陰でもたくましく育ち、しかもかわいい形状の花までつけている」という好印象を抱き、毒のあるミニトマト風の果実に対し「これを食べればパワーを少し分けてもらえるかも」と思ったりします。皮肉にも星等は悪茄子のような強かさをずっと欲しがっていたわけであり、実際にトゥルーエンドにてその類の強かさをある程度手に入れることになるのですが。
そのルートで出会った当初は犬鬼灯(イヌホオズキ)という植物だと星等は勘違いするのですが、これも毒鶴茸と原茸の関係と同様に似ていて紛らわしい別種がいるというあるあるネタです。
ちなみに花ゲリラは実際に世界的に知られている行為で、ゲリラ・ガーデニングとも呼ばれています。繁殖力の強い悪茄子やミントの種を他人の敷地に花ゲリラするという「ワルナスビテロ」「ミントテロ」という迷惑行為もあるらしいですが……(これを見てやる人はいないと思いますが)絶対にやめましょう。

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青ちゃんについて

序盤の星等の仲間の一匹ですが、どのルートでも逃げられるか殺されるかのどちらかの運命しか辿りません。
青ちゃんは助けてくれた星等に感謝しつつも、自立心が旺盛でいつまでも依存していてはいけないと思っており、星等と共に樹海東部に行った際には海の方へと飛び去っていきます(ちなみに星等が熊に襲われたりジャングルジムが倒壊するなどの危険が及びそうになった時も、それをきっかけに飛び去っていきます)。飛び去るタイミングがごく限られているのは、やはり性格は臆病で、きっかけが来ないと行動できない様を表しています。
東に広がる海を見た星等は、「まだ自分には少し早いように感じた。もう少し樹海にいたいような、そんな感情を抱く。星等は何をするでもなく、ただ木々の向こうの海を眺めていた。」と反応しています。居心地は良くないけどどこか憧れる…そんな社会への想いと同じような感情を抱いている星等をよそに、青ちゃんはお先に失礼と言わんばかりに飛び去ってしまうのです。星等の想像通り青ちゃんは海の向こうへ飛んでいったのではなく、再び樹海のどこかへと降り立ち新たな生活を始めたようです。トゥルーエンドへと進むルートでの飛び去りシーンでは海こそ見えていないものの、そんな青ちゃんの自立心と天空都市に影響された星等が、都会へ行こうと決心することになります。
殺されるルートの真相は、5/23の日中に窓から入ってきたカラスに襲われてしまうことにあります。別ルートの同日にて10時頃に自宅で起床した際、「家の外の電柱の変圧器の上に営巣でもされたのかと言わんばかりの大量のカラスの鳴き声が、窓を突き破って微かに耳に入ってくる。」との一文があり、それを示唆しています。
作中では口元の青い小鳥は二匹いて、5/17に同族たちによる襲撃から救い青ちゃんと名付けた小鳥と、5/11(初日)に汀空にて懐いてくれない小鳥がいます。彼らはもちろん同一個体ではありません。口元の青い小鳥は集団に溶け込めなかったり疎まれたりする象徴であり、そのような存在は少なくない(珍しくない)ということを示しています。

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天空都市について

ゲーム名の象徴でもあり、タイトル画面にも映っており、かつ星等にとっての目標であり続け、そして星等の最終目的地でもある存在です。比喩としての目的地だと思わせておいて、実は本当に辿り着く場所となるのです。
作中では明記しておりませんが、天空都市の正体は青影島の北の海を隔てた先にある本土の市街地・白銀日向市のビル群であり、それが浮き上がりの蜃気楼となって北の上空に映っているように見えていただけです。最終盤のシナリオにて、小野田が白銀森林保護協会の場所を訊かれた時に「天空、かな」と答えるところ、海から白銀日向市を臨む背景のビル群、星等が初めて白銀日向市に向かう際に「初めて来たはずだが、なぜか親近感を感じる都市だった」と表現しているのをそれぞれ見て気づいた人も多いのではないかと思います。

春先の時期に「風が弱く水温より気温が高い」条件が満たされると、水面付近の冷気と移流してきた暖気との間で逆転層ができ、蜃気楼ができやすくなるのだそうです。天空都市はこの現象を元に発想しました。作中では5/17と5/24の複数のルートに天空都市が一定時間現れるシナリオがあります。ちなみに季節外れなこともあり、6月以降のシナリオに天空都市は出てきません。

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北極星について

天空都市と並び、星等の憧れの象徴です。「星等は闇に包まれた夜の樹海から見る北極星を一度描いてみたいと常々思っている。おそらく一番北極星が輝いて見える場所だから。」という文章の通り、北極星の絵を描くことがトゥルーエンドへの必須条件となっています。6/27に夜の樹海へ行くという選択をして無事生還するには2つのフラグ(商店街で白いワンピースを見るフラグ、図書館パートで熊の本を見ておくフラグ)を立てておかなくてはならないため、一見すると死亡フラグのような選択肢のように感じられると思います。複数のフラグを立てた場合に通れるようになる選択肢はここ以外にはありません(通過条件に複数フラグを要するのはエンディングで、結果に応じて4つのルートに分岐します)。

ちなみにバッドエンドの最後に出てくる選択画面の背景も北極星です。
トゥルーエンドに流れる夜空の絵については後述します。

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楠樹講について

はたして楠樹講とは何だったのか――善なのか悪なのか――。白銀森林保護協会とも裏で繋がっているかと思うような描写もあったりします(楠樹講員となった小野田の新しい就職先であったり、幹部講員の息子が他事務所で働いていたり)。終始謎に包まれており、善悪が判断つかない存在ではありますが、少なくとも星等が楠樹講に救われているのは事実です。
宗教の意義は信者の心の救済であり、そこが達成されていればたとえその宗教団体が善か悪かは関係なく成立してしまうものです。信者からすれば救世主、すなわち味方、すなわち善、すなわち価値のある存在だと捉えるでしょう。
幹部講員は外園(とぞの)の他に、河村靖朝(かわむら・やすとも)、玉崎寛(たまさき・ひろし)、臼井顕広(うすい・あきひろ)、表治郎(おもて・じろう)がいます(とあるルートにて名前だけが列挙されます)。玉崎、臼井もとあるルートで少し登場し、河村は祠を手入れしている人として名前が上がる他、トゥルーエンドの最終盤に少し出てくる河村和史とも関係する人物だったりします。

…で、結局楠樹講とは何なのかって? 何なんでしょうね?
(裏話ページなのにはぐらかす……それはつまり…)

インスピレーション元は「富士講」ですが、成り立ちや現代の扱い(処罰対象)などの相違点は多いです。

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樹海の大楠について

楠樹講の信仰対象の一つではあり、星等もその神聖さに魅了されます。
設定については作中の本「青影島の歴史 <四章> 先住民と開拓民」の通りです。(下記)
楠樹講の信仰の対象がなぜ楠なのかというと、「楠」は木に南と書くことから、開拓民に殺された島の南部の木々の精霊を宿しているとされ、それらの木々の死も無駄にはしないという気持ちが込められているという。当時から貧・病・争に苦しむ人の心の支えだったはずだ。
大楠は楠樹講の管理下にあり、幹部講員の外園が定期的に点検(兼お祈り)をしていたのはもちろん、同じく幹部講員の臼井と玉崎が大楠を検査するシナリオも別にあったりします。
もともと自生していたのではなく南部が開拓されてから植えられたもので、とあるルートにも説明されるように信仰対象としては比較的新しいものです(乾繭神が古いものにあたります)。当初は何箇所かに植えられた設定の予定でしたが、全体のゲームボリュームと他の場所との都合で無しに。

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天惠井戸について

魅了されるシーンも一部ありますが、主に星等が投身自殺を図った際によく出てくる場所です。
設定については作中であげた通りです。(下記)
――――天恵ではなく天惠(旧字体)が正式名称だが、最近は天恵と書かれることも多い。特に五月や七月の特定の時期に、樹海の闇の中にここだけ太陽に照らされることが多くなるため、天の恵みの井戸と呼ばれていたが、今は使われておらず、自殺の名所となっており、今では「天国への入り口」という異名で呼ばれている。昔は、太陽に照らされた日の天惠井戸から取れる水は幸福をもたらしてくれるとされ、住民から重宝されてきた。しかし現代では、「自殺すればかならず天国へ行ける」という噂があるため、五月や七月に自殺者が増加する現象が起きている。屈指の心霊スポットでもあり、訪れると、天国へ行けなかった霊に呪われるとされているが、真偽は定かではない――――。
古井戸に光が射している時と射していない時があり、前者は光と闇のコントラストが美しいですが、後者は純粋に不気味な印象しか受けません。来る時間帯によって印象がガラリと変わる不思議な場所です。
気になった人もいるかもしれませんが、天惠井戸関連はリアルではない部分があります……。例えば井戸に日光や月光がピンポイントで射す時間帯というのは限られておりますが、この状態の天惠井戸に星等が訪れるシーンの時間帯はまちまちだったりします。そのあたりをしっかり調整してシナリオを作ることもできたかもしれませんが、怠惰により大雑把になってしまった可能性が……。

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彼誰湖、誰彼湖について

樹海東部にある彼誰湖(かわたれこ)と、樹海西部にある誰彼湖(たそがれこ)。「かわたれ(彼誰)」は明け方、「たそがれ(黄昏、誰彼)」は夕方の時間帯を意味する言葉であり、それぞれが朝日と夕日の日差しが届きそうな東端と西端に位置することに由来しています(誰彼湖から樹海西端の海岸線へと出るシナリオはありませんが…)。

彼誰湖は小野田が自殺を試みる場所でもあり、ルートによっては星等も自殺を試みる場所です。植物プランクトンによって変色していて綺麗とは言えませんが、自殺をするつもりの人には些細なことなのかもしれません。
後述しますが、誰彼湖は豹ちゃんによってのみ訪れることになるレアな場所です。

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「青影島先住民のボヤキ」について

青影島先住民が青影島の歴史などを記録している個人サイトで、書いてあることは基本的に全て正しい(本来作者が作った設定)です。謎に包まれているというオチのものもそこそこありますが、単に細かい設定を考えていないだけです…。


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豹ちゃんについて

樹海に入り浸る星等を鼓舞するかのような自由気ままで孤高の存在で、かつ豹ちゃんになって樹海を駆け巡る妄想をしてしまうほど星等に一目惚れされてしまう存在でもあります。
とあるルートにて豹ちゃんに振り回されていた星等が「嫌われたくないという一心で、その人の機嫌を取るためなら自分のしたいことや言いたいことを我慢する、そんな人間になるのだろうか。…(中略)…自分は不本意ながら、ご機嫌取りになるしかないのかもしれない。」と思うシナリオがあるのですが、もちろんこれは別ルートでの泉との関係を暗示しています(星等の気持ちとは裏腹に結局去られる所まで含めて似ています)。泉との関係が途切れ、再び乾と接するようになった時にはこの感情が少し緩和されています。
ちなみに樹海西部にある誰彼湖は、豹ちゃんに連れてきてもらうルートでないと訪れることがないレアな場所でもあります。

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石原について

まず石原というのは偽名であり、本名は土橋西裕(どばしにしひろ)。これは作中のとあるルートから予想可能となっています。コンプレックスの裏返しで、自身が格好良いと思う名前を名乗っています(石原軍団から連想している)。
様々なルートで姿を見かける人物であり、その時々によって星等からの印象が大きく変わっています。「ベージュのシャツを着ている」「大型バックパックを背負っている」「肩まで伸びた白髪交じりの髪」「ホームレスのような出で立ち」などと形容される中年男性は全て石原です。しかし石原と会話をするルートでの彼の印象は「タフで社交的」という良い印象を抱いたり、時には自殺を引き止めてくる熱い一面を感じるシナリオもあるのに対し、傍から見てるだけで接触しないルートでの印象は「不審者」などという悪い印象しか抱いていません。

行動範囲は広く、南部の都築(とつぎ)町から樹海内にまで及びます。警察から逃げるために定住せず、遊牧生活と称し、普段は白線川の河川敷のどこかにテントを張って一夜を過ごしているのですが、気分転換でたまに樹海の北部で一泊したりもすることもあるようです(樹海は危険だからあまりやりたくないとのこと)。白地濱市街地や都築にしばしば出稼ぎ(日雇い労働や短期工場バイト)と買い出しに行く貧しいホームレス生活を送り、時には万引きをしてしまう現状に背徳感を感じています。作中にもある通り、空(くう)の除草をしているのは白銀森林保護協会ではなく石原なのですが、それは背徳感からくる社会貢献である側面も大きいのです。刈払機は買ったのではなく盗んできたものであり、樹海のジャングルジム付近の岩の隙間などに一時的に隠したりして、決して常備していません。
普段孤独な生活を送っている反動で、星等に対しては自分のことを饒舌に話します。市街地にいた時の行動を見ても分かるように実は喫煙者なのですが、樹海では喫煙しないポリシーを持っています。熊やシリアルキラーの存在など、樹海のことにも詳しく、星等が説明を受けるシーンがあります。

石原は「ロクでもない人でも良い所はあり、時にはその人に救われることもある」という事実を体現した哀愁のあるキャラになっています。
石原のその後は描かれておりませんが、トゥルーエンドにチラっと映る3年半後の汀空が雑草だらけになっています(悪茄子の姿はない)。石原はあの後逮捕され、釈放後は島外へ移った設定であり、草刈りのされていない汀空の大量の雑草はそれを暗示しています。

冒頭で挙げたとあるルートでさらに石原はかつて都築町の高架下に定住し、戸叶(とかの)油脂で短期バイトをしていたことが分かるのですが、戸叶油脂は一部のシナリオに言葉として出てくるだけでなく、都会パートの工場地帯の背景に映っていたりします。そして同時にこの橋の先が都築町であることが分かります。どちらも主に舞台として関わることはありませんが、存在は確認できるのです。

靑祇外苑で寝泊まりした時に落としてしまった手書きの地図があり、星等がとあるルートで後に拾うことになる地図がまさにそれです。荒く引かれた斜め線は海を表しており、青影島が四角い形状をしていることが分かります。樹海内の文字は簡略化した名称で書かれており、「辺ラ」とは辺境ラリースタンプがある場所のことを指しています。旭氷穴や辺ラ②やジムの周りを囲んでいる線は、地面の起伏が多くてまっすぐ進みにくいエリアを大まかに示したものです。汀と凪沖の下にある細い道は遊歩道を表しています。
島北部の樹海内ばかりに目が行きがちですが、島南部にも少し記述があるのが分かります。石原が寝床としていた場所です。左端にある家マークと、下の方にある黒く塗りつぶされたもう一つの家マークがあります。後者は戸叶油脂の短期バイトを飛んで以来定住することはなくなったので、黒く塗りつぶされています。今は定住しない遊牧生活のスタイルではあるのですが、比較的高頻度で野営するお気に入りの場所があるようで、それが左端にある家マークだったりするのです。比較的海に近くて人けの少ない良い場所を見つけたものと思われます。 さらにこの地図は、青影島の北方に陸地があることが分かるものにもなっています。作中で終盤に使われている「本土」という呼ばれる白銀日向市のある陸地です。

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ジャングルジムについて

樹冠の調査のために作られたとされる謎の廃建造物です。解体には至ってなく、白銀森林保護協会も「登らないでください」という看板を立てることしかできていません。
ジャングルジムに登るシナリオのルートは2つあり、5/24に登って無事てっぺんに到着するもすぐ倒壊するパターンと、5/25に青ちゃんと一緒に登るも到着寸前に倒壊するパターンがあります。ジャングルジムを登った時に見える風景はもちろん、タイトル画面にもなっているあの風景です。余談ですが、この背景画像は作者が最初期に描いたものであり、木のデザインが中期に描いた画像(汀空など)や後期に描いた画像(凪沖空や大灘空、ジャングルジムなど)の木とは少し異なっているかと思います。木の描き方が少しずつ改良されていっているのが分かります(なのであまりまじまじと見比べてほしくはない部分だったりします…w)。
ちなみに実際の青木ヶ原樹海にもこのような謎の廃建造物があるようで、それがモデルとなっています。

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靑祇外苑について

青影島北西部にある苔の森です。この辺りは海風の影響で局地的に湿潤となるため、このような光景が広がっています。先住民たちが古来から祀ってきた神である乾繭神の石像が収められており、外苑という名称の由来になっています。とあるルートでしか行くことはありませんが、石原がポロッと口にするなど一部のシナリオで苔の森と呼ばれる場所の存在が確認できます。

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乾繭神について

作中にもあるように、乾繭神(けんけんじん)という名称は島の西北(乾)に位置する守り神を意味し、怠らず努力するさまを表す「乾乾(けんけん)」にもかかっています。
また乾とも関連付けて、「乾繭神の使いである乾が、樹海を愛してやまなかった星等に都市で最後の手助けをする」ようなことをほのめかせるオカルト的な意味合いもあったりします(乾ルートを選ぶかどうかがトゥルーエンドの決め手になるから)。靑祇外苑で自殺するエンドの謎の声「――――乾(けん)の者を信じよ――――遠く離れた土地でもきっと――お前を幸せへと導いてくれるはずだ――――――――」がまさにそれです。
ただ、実際の設定上は乾が神の使いというわけではありません。作中で無理やり関連付けて(こじつけて)いるだけです。ただ、乾繭神という名前をつける時に乾のことを意識はしました(ややこしいですね)。要するに、「奇妙な一致」という要素を意図的に作ったという感じです。部分的に関連してて、じゃあ本質的にも関連してるのかなと思いきや、それは単なる偶然で、やっぱり本質的にも無関係だった…そんな2つの事柄ということですね。

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祠について

作中では巴閒神社の主祭神である夜那美毘売命(ヤナミヒメノミコト)を祀るものだと星等が判断しますが、実際には乾繭神の御神体としての石が祠の中にあります。これはとあるルートにて外園が「実は樹海には、乾繭神を祀った祠があるんだ。(中略)ここからじゃ遠いし辺鄙な所にあるから…」と発言するところからも推測できます。
また、その時の外園が「本土から定期的に祠を手入れしに来てる河村っていう幹部講員がいる」とも発言しています。海岸線から祠に至るまでに獣道が形成されていたのは、海を渡って管理をし続けていた河村によるものなのです。

「祈る」か「祈らない」か、どちらの選択肢を選ぶかで運命が大きく変わります(どちらもバッドエンドですが)。祈った後のシナリオは、星等がまるで靑祇外苑へと導かれるように樹海を進んだり、辺境ラリースタンプを全て回収するように樹海を歩いたりするという不思議な変化がおきます。そして結果的にトゥルーエンドへの答えをプレイヤーが間接的に知ることとなります。これも乾繭神……すなわち乾からの手助け、というオカルトを込めていたりします。
祈らずに帰った後のシナリオの終盤はなかなかショッキングな展開となりますが、中盤にはコスモスと小鳥の件によって生じた自殺念慮を石原に解消してもらうという石原がちょっとカッコよく見えるシナリオがあったりします。

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辺境ラリーについて

実際の青木ヶ原樹海にある「オフ板ノート」からインスピレーションを受けたもので、外部の一般人が遊びで作ったものという設定です。サイトのデザインはWebデザインの基礎を知らない人が作ったような雑な印象を与えるものにしており、白地にメイリオやMSPゴシックなどのベタなフォント、中央揃えされていない表やスタンプ画像、逆に中央揃えになってぎこちなく表示されている文章、SSL対策をしていないページ等の特徴が分かるはずです。画面上部に表示されているURLは全て架空のものです。スタンプの札の場所はそれぞれ樹海内の辺鄙な所にあり、全ての場所を通れるルートのシナリオは1つしか存在しません。全て通ると「え」と「ろ」の羅列がたくさん書かれた一見ふざけたページに飛ばされますが、実はこの羅列はゲームを開始してからトゥルーエンドに到達するまでの選択肢を全て表すものになっています。え→エ→左…ということです(つまり「ろ」も…)。一つだけ「三」がありますが、これは白地濱図書館パートに出てくる本のうち、右から「三」番目のものを選択する必要があることを示しています。(まぁ、トゥルーエンドへの道は攻略ページを見ればすぐに分かるのですが…………実はゲーム中にもある、という話です)

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手書きの地図について

石原の項の下部にて詳細説明しています。

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白地濱市街地の街歩きについて

主な活動場所が樹海しかなかった星等が意を決して街に出る……そして街にある様々なものについて星等独自の視点でリアクションをしていく……ストーリー展開的になかなか良いかなと思って採用しました。

余談ですが、市街地の背景のほとんどが写真(多少の加工あり)です。本当は写実的に描くもしくは写真を模写する予定でしたが、時間と労力が半端ないわりに仕上がりが特段良くもない…ということでこうなりました。ただし、田園風景、市街地への橋、夜景の橋、外灯ベンチ、河川敷の背景だけは写真の模写をした画像です。それらを仕上げた際に力尽きた結果、前述の通り予定変更に。
街歩きの背景画像に施した加工の1つとして、固有名詞を紛れさせたというのがあります。歩道橋背景の右下に映る「白線側2…」という道路標識、中央右側のマンションのてっぺんにある貸看板、団地背景の左下にある犬のフンの後始末を促す看板、その下の「白地濱市」など、随所に挿入されています。
他にもいろいろあります…「広告主募集 (有)UKホーム 14-142-1356」「月極駐車場 空有 (株)ネヅ不動産 17-32-0508」「上神内科医院 内科・胃腸科・小児科 42-44-564」「L.Cove」「爬虫類専門店 都影房 爬虫類餌セール中!」「イブニング」「あぶら亭」「西山書店」「リベルテ」「戸叶油脂」。暇な方は探してみてください(一部はこのページでも明かしています)。

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白地濱図書館について

各本のページのボタンを押すと、見開きのような配置のウィンドウに文章が表示されますが、一部が切り取られて表示されているものがほとんどです。少々奇妙に感じた人もいるかもしれません。これは星等が内容を全部読んだのではなく「一部を適当に目を通した」という演出のつもりです。ページや文字の大きさを変えたりフォントを変えたりして違う本を読んでる感じを出しても良かったかもしれませんが、そんな余裕はありませんでした…。
各本はフラグを立てる以外の意味はなく、ゲーム内でストーリーの裏設定を覗き見できるといったオマケ要素でしかありません。もちろんシナリオで訪れた時の図書館パートの本と、メモリーに追加された図書の本に書いてある内容は同じです。しかしメモリーの図書の本の選択ボタンが黄色であるのに対し、図書館パートの方はシナリオ分岐の選択肢ボタンと同じ緑色になっていて、しかもセーブボタンまで配置されています。つまりこれは単なるボタンではなくフラグを立てるための選択肢であり、重要なボタンが実は含まれていることを示唆しているのです。……まぁ初見ではその意図になかなか気づけないでしょうが、「※図書館を出るまでは何度でも選ぶことができます」の文面を読んでいたなら、とりあえず全てのボタンを押す人も多いのではないかと思うので、ここのフラグを立てずに図書館を去る人は案外少ない気がしています。

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白夫婦について

愛玩用として飼育されることで、弱いけど社会に適応し幸せに暮らす…そんな位置づけの存在です。星等の精神状態によって親近感を抱く場合、優越感を抱く場合、羨望を抱く場合があり、多面的なイメージで描かれます。とあるシナリオでは同じく幻想的なイメージのある大灘空の菌輪と掛け合わされて、星等がメルヘンチックな空想をすることにもなります。
白夫婦を飼い始めてからはどのルートでも6/5に白くんが死に、6/7に白ちゃんが死にます。いくつかのルートではこれが引き金となり、白ちゃんが死んだ6/7に星等も死ぬ結末を辿ります。しかしトゥルーエンド方面では彼らの死を経験したからこそ、おしろい学級で仲間を作ることに奮闘できたのかもしれません。

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アルバイトルート、交流会への参加ルート以降について

このあたりから、星等の内面の葛藤の細かい描写がたくさん増えます。この段階での星等が対面時のコミュニケーションをいかに無駄に考えすぎているかを表現しているのです。これはしっかり考慮しておくべき点と、ラフに考えていい点のバランス、境界がわかっていないことが原因だと思います。

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ハートフルガーデンについて

寡黙な乾の好みを体現したかのような作風の漫画で、乾のこだわりと情熱が垣間見ることができます。
ちなみに星等は単行本一冊を15分で読めるのですが、作者はじっくり読むタイプなので少なくとも30分以上は要します。長く楽しみたいんですよね。早く読み終わっちゃうとちょっと虚しくないですか…?

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ジョークダムについて

成功しているチームyoutuberのイメージそのままに発想した男4人と女1人の混合グループです。名前の由来はジョーク(joke)+ダム(dom 領土、集団の意味。例:kingdom)。
メンバーはリーダーのタッチー(橘宏大(たちばな・こうた))、バラユウ(松原悠(まつばら・ゆう))、ムラマサ(村井正貴(むらい・まさき))、ムトー(武藤大助(むとう・だいすけ))、バニー(宇佐美梢(うさみ・こずえ))(女)と、ニックネームは本名からとった愛称になっています。バニー(宇佐美梢)はジョークダムのメンバーの紅一点です。男4人と女1人という編成上、女性メンバーの名前が作中に出てこないことに気づいた人もいるかもしれません。本当は登場させる予定もあったのですが入れられず……と思いきや、とあるルートの恐ろしいタイミングで本名だけが出てきます。本名はなんとか本編に入れられたものの、「バニー」呼称は完全に裏設定と化してしまいましたとさ。

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東大バカ暮らしについて

ジョークダムとは違い、成功している個人youtuberをオリジナルで発想してみました。なので、作者好みとなっています。「元東大生が真剣にバカなことをするエンタメ系YOUTUBERで、主に出演しているのは鎌倉進児(かまくらしんじ)と名乗る人物のみ。」「動画内ではオシャレなクラシック音楽が小音量で流れている。にも関わらずバカバカしいことをやっているので、シュールな雰囲気が醸し出されている。」「お箸で全ての物を持って一日過ごすやつ。物を持つ時に、お箸だけしか使えないっていうルールなんだけど――」 ただ、この手のスタイルは万人受けしづらそうと思ったので、チャンネル登録数はジョークダムの7分の1という設定に。
名前の由来は「灯台下暗し」をもじったものです。

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森下、和久、新藤について

おしろい学級にて星等と接触する3人で、仲良しグループを形成しています。
森下は1年生でおっとりしていて大雑把、でもそこが周りに好かれててかつ周りの意見にもある程度合わせられるなど、世渡り上手。ジョークダムのタッチーのファンである泉の前では自身もタッチーが好みと言っているが、本当はチャンネルの動画が好きなだけでメンバーをアイドル視したことはないようです(別ルートの新藤との会話で発覚)。

和久は3年生で泉と同等のジョークダムファンで、特にムラマサの熱狂的ファン。人気ツートップのもう一人であるタッチーの大ファンの泉からはひそかに敵視されていて、和久もそれを少し感じてはいるものの、(上級生ではありながら)泉に気圧されてあまり強く主張することはないという状態です。とあるルートでは泉との絡みはないものの、あまり社交的ではなく人見知りで、親しい森下や新藤以外の絡みが少ないです。和久はある意味乾の次に星等に近いキャラかもしれませんが、皮肉にも星等には3人の中で一番遠い存在のように意識されています。それはお互いが人見知りで壁を作り合っていたから、かもしれません。星等が乾に一声かけたように、どちらかが第一歩を踏み出すことが出来たなら、逆にお互い惹かれ合っていたのかもしれないとも思います。

新藤は2年生で他2人と比べて少し社交的かつマイペースで、ジョークダムより東大バカ暮らし派。「初対面で名前の読み方が分からないあるある」を登場時に入れてみました(作中の星等は困惑してますが、通常は普通に読み方を訊けばいいかと思ってますw)。とあるルートにのみ出てくる人物で、泉との絡みはありませんが、ジョークダムがあまり好きではないこともあり、他の2人ほど親密ではないのが分かります。そのルートでは星等は自分に興味を持ってくれなくなったと失望しますが、新藤からすると特にそういうわけではなく、単なる気まぐれだったりします。森下や和久に比べると星等と絡んだ時間の方が少ないため、星等に対する親近感が2人に対するそれに負けるのは当然です。星等はあの後ももっとしつこく新藤(や森下や和久)と絡みに行くべきだったのです。

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泉について

本名は泉儛(いずみ・まい)で、乾とフルネームの語呂が似てる反面、苗字とキャラのイメージは正反対です。
社交的で人懐っこい一方で自己中心的で嫌味なところがあり、仲良くなりたいと思っている星等を終始振り回します。星等は前者のイメージばかり感じて後者のイメージはあまり感じていませんが、作中でもそんな一面が随所に見られます。例えば聞かれたくない質問(おしろい学級に来た理由)をされたから自分もそれを相手にやり返して嫌味を言ったり、興味のない話(ハートフルガーデン)になったらすぐに強引に興味のある話(ジョークダム)に戻したり、自分が嫌いで納得できないこと(アンチであるムラマサが人気ツートップであること、和久がムラマサの大ファンだということ)に対する容赦ない陰口……など。
ただしそんな泉の良い一面である社交性や人懐っこさによって、星等は他の生徒と触れ合う機会が多くなり、初対面の人ともある程度対話ができるようにまでに積極性が高まっていったのも事実です。その力は再登校後の学校や白銀森林保護協会に就職後にて発揮されるため、ある意味トゥルーエンドに辿り着くためには必要不可欠な人物だったと言えるでしょう。

おしろい学級に来た理由として「勉強が壊滅的にできないから」と歯切れ悪く答えるシーンがあります。勉強が苦手なのは本当ですが、入級の理由としては嘘です。先述の悪い部分が原因で学校のクラスメイトたちから責められ、時には嫌がらせを受けたりした結果病んで不登校になったという経緯が実はあったりします。つまり不登校という部分に関しては星等と同じなのです。
巴閒神社の縁切り絵馬の中身を覗くシーンでは、泉を呪う絵馬(『空気読めなくて嫌味ったらしい泉儛との縁が切れた』)が飾られていたりします。おしろい学級へ行き乾や泉と絡むルート上にはないシーンのため、あまり目立たないのですが、実はあります。泉がおしろい学級に来る前に人間関係でトラブルがあったことを暗示しています。泉はその件について反省し、面と向かって攻撃的なことを言わないように努めていたのですが、それでも若干漏れていたり、陰口としてそういう発言をするという行為に至ってしまっています。
キャラが正反対なこともあってか、乾のことは虫が好かないようです。実際に乾に話しかけたときの反応や、他の生徒から聞いた乾の話を経て、その感情に至りました。そして徐々に星等もそんな泉に影響されるかのように乾に少しばかり否定的な感情を抱くようになっていってしまうのです。6/7にもし泉が入級してこなかったら、星等の乾に対する負の感情はそこまで大きくなかったかもしれません。
7/1に星等からのLINEを既読無視した理由はハッキリとはしていませんが、もともと星等のこともさほど好んではおらず、単にやりとりをすることが面倒になったからと考えるのが妥当でしょう。星等はジョークダムが好きだのタッチーが好きだのと泉の好みに合わせて会話し、泉とうまくコミュニケーションできていたと思い込んでいたけれど、泉はそれらが星等の本心ではないと見抜いていたということです。さすがに星等は、森下のような器用さを持っていなかったというわけです…。

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乾について

トゥルーエンドへのキーパーソンで、本名は乾愛(いぬい・あい)(「乾との時間を増やす」ルートで判明)。
星等と同じ悩みを抱えている人物であり、星等以上に人見知りで内気で、おしろい学級ですら友達を作れていません。しかし、星等が初対面で唯一自発的に話しかけることのできた同年代の人物であり、星等はそれをきっかけに対話の積極性を高めていきます(それ以外のルートでは全て「話しかけられてから」の対話しかありません)。つまり星等が初対面で(無意識に)最も安心感を感じたのであり、その理由はおそらく星等が(あまり良くない意味で)嫉妬しない人物だったからかもしれません。悪く言えば、少し「下に見ることのできる」人物。星等が日頃コンプレックスに感じていた気持ちが薄まり、優越感を少し感じられるような存在。それが安心感になってしまっていたのです。 でも、だからこそ星等は乾に親近感を持ち、結果的には親友となれたのも事実です。星等ほどに病んでコンプレックスを抱えている人間は、少し「下に見れる」存在を見つけない限り、対話の積極性を高める良いスタートダッシュが切れないのではないかというのが作者の見解です。逆に乾の視点で星等を見てみてもそれを感じます。星等と和解するシーンで乾が「実は私末永さんに出会った時からずっと憧れてて――でも笑顔を作ったり明るくしゃべったり面白い話をしたりするのが苦手で――末永さんに嫌われるのが怖くて――だから末永さんといる時は結構疲れちゃって――」というLINEを送っているように、星等は乾から好感こそ抱かれているものの安心感までは与えられていないのが分かります。現にこの後のとあるルートにて、乾は星等に対しても劣等感を感じ、自殺をしてしまいます。星等がこのゲームで最も絶望するバッドエンドです。
もちろん「下に見れる」から友達、なんて動機の関係をそのまま続けていて良いはずがないので、一部のシナリオでも言及し、少しずつ解消していくという流れにしています。トゥルーエンドのシナリオでは乾にいくつかの光が射し、星等が嬉しさと同時に悔しさも感じるなど、ライバルのように思える友達へと成長しました。これこそがバランスの良い関係だと思っています。
ちなみにトゥルーエンドのシナリオ(8/18)にて星等は、安里からの脅威から救われるきっかけとなった乾に感謝し、「近い将来、何か恩返しがしたいと思った。先月分と今月分の給料があれば、大抵のことはできるはずだ。」と思っています。これは後日、乾とディズニーランドに行くことを暗示するものとなっております(作中では明示しておらず、あえて省略しています)。別ルートで乾が後に自殺するきっかけの一つである「ディズニーランドに行きたいけど行けない」問題を解決し、乾の自殺を間接的に救ったこととなり、だからこそのトゥルーエンドなのです。

乾がおしろい学級に来た経緯は、星等と同じく学校でいじめに遭い不登校となったことが原因です。その間にハートフルガーデンという作品と出会い、その世界観に癒やされて大ファンとなります。星等が樹海浴をしたり、白夫婦と菌輪を見ながら空想に耽ったりするような、現実逃避行為と似ています。
ただおしろい学級に来た直接的な理由は星等とは少し違い、同年代との交流よりも大学進学のための勉強によるものが大きいです。休み時間に勉強ばかりしていたのは、乾の本意なのです。ただし交流したい人がいてもなかなかその勇気が出ないからという部分も後押ししています。さらに自発的なアプローチの方法すらも分からないので、休み時間はただ勉強することしかできないし、放課後はすぐに帰るという行動しか選択肢がないのです。これらの行動は端から見ると「冷たい」と思われがちなのですが、乾は本心でその自覚がなく、またそうするしかない精神状態であるだけなのです。しかし星等が「自業自得な行動」だと思ってしまうのも無理はなく、やるせないシーンではあります。

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月ノ輪熊について

樹海の脅威の一つであり、様々なルートでの物理的な死因となりうる存在です。とある1つのルートを除き、星等が対峙した際は必ず殺されます。シリアルキラーたちと並び樹海では圧倒的危険な存在で、彼らとともにこのゲームの前身である「樹海探索アドベンチャーゲーム」の名残要素でもあります(詳しくはこのゲームの制作経緯の項にて)。
白いワンピースを着て思い出の地巡りをし、かつ熊に出会った時の正しい対処法を実行した星等のみ、襲わずに逃げていきます。星等を強い存在だと判断した証拠です。
夜行性という設定としていますが、これはゲーム的に分かりやすいと判断して決めたものであり、実際の月ノ輪熊は薄明薄暮性といって明け方・夕方の薄暗い時間帯に活発になる生態のようです。

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シリアルキラーについて

テントを張って拠点を作りながら樹海に来た人を待ち伏せし、快楽殺人をしている3人の男です。殺害後の遺体は、青いゴム手袋を着用して解剖したり燃やしたりして遊ぶほか、若い女性の場合は屍姦することもあるようです。ボーイスカウト出身の人間がいるようで、テントや作業場の位置を示す追跡サイン(図書の「ボーイスカウト用語辞典」内に記載あり)を樹海内に作っていたりします。重ねられた小石や矢印の形の枝はまさにその所業です(詳しくは後述)。
いくつかのルートにて1つだけポツンと立っているテントを見かけることがありますが、全てシリアルキラーのものです(ベンチの東側に立てられていたたくさんテントは集団自殺志願者たちのもので彼らとは無関係)。とあるルートでは実際に3人と遭遇し、最初は森林保護協会の人たちかと星等は勘違いしますが、燃やされて異臭を放っている奇妙な死体を見せられた後に、白夫婦たちと共に殺されてしまいます。

実際の青木ヶ原樹海にもこのような犯罪者はいるとされており、それが元となっています。特に自殺をしに入った人間を殺すことに対する罪悪感は薄いようです。樹海という場所自体がブラックボックスであり、その中で犯罪を起こす者たちを取り締まるのは困難のようです。無法地帯と化しているので、現実世界で樹海に入る行為がいかに危険かが分かります。

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F、J、Cについて

星等の因縁の3人であり、ゲーム全体で星等に悪影響を与え続けるほどのトラウマを与えた存在でもあります。各人の本名はFが藤井未玻(ふじい・みわ)、Jが神野憂杞(じんの・ゆうき)、Cが千原繚(ちはら・りょう)であり、とあるシナリオでのみ明らかになります。各人のキャラは「リーダー格で嫉妬深いF、やんちゃではないがFに気に入られているJ、騒がしくて落ち着きのないC」と星等には記憶されています。
再登校後の罵声やいじめについて、作中ではFによるものだろうと星等に推測されています。真相としては、いじめ(靴にいたずら)はFの仕業ですが罵声は違います。強い心的外傷に苛まれている星等が、靴のいたずらをきっかけに悪化し始め、Fの気配を感じた時に度々聞こえる幻聴だったりします。
Fが星等を敵視するのは、星等が無口でクラスに馴染めないからというだけでなく、特進クラスにおいてFが成績下位なのに対し星等が成績上位だからという理由があったりします(同じようにJとCも成績はあまり良くない)。執拗性はそこから生じた嫌悪、嫉妬、憂さ晴らしといったところでしょう。ちなみに靴に入っていた青白い小鳥の死骸は、たまたま死骸を見つけたから入れただけで、生きていた小鳥を殺したわけではありません。青白い小鳥の死骸は、白くなりかけている青(つまり都会人になりかけている星等)が息絶えた姿を暗喩しています。このゲームで一二を争う残酷な暗喩だと思います。同時にFの残酷性を強調する演出でもあります。

またその時のシナリオ通り、再登校後はJとCはいじめに積極的ではありません。集団によるいじめは、一部の積極性を持った人間が引き金となって好奇心や同調圧力などの作用により連鎖的に引き起こされる場合が多いと思っています。しかし被害者である星等からはFに加担したJとCもほぼ同じように見え、まるで敵がたくさんいたかのように感じてしまうのです。もしドラマや漫画の中であるような教室中の生徒にいじめられるような状況が起こったとしても、大半の生徒は「空気を読まざるを得なかっただけ」で本意ではないはずです。

Fはゲーム的表現をするとラスボスのような存在だと言えますが、Fに天罰が下るシーンは基本的にありません。悲しいことに、いじめの被害者は生涯トラウマで苦しみ続けるにも関わらず、加害者に天罰が下ることはほとんどないのが現実だからです。創作世界においてはそのやるせない現実を晴らすかのようにその手のキャラが懲らしめられることがよくありますが、このゲームでは限りなくリアリティを追求したかったのでやりませんでした。同じ理由で、星等自身がFに立ち向かう展開にするのもやめました(詳しくはトゥルーエンドの項にて)。
ただ、このゲームは単なる一本道のテキストノベルゲームではなくマルチエンドのテキストアドベンチャーゲームであるため、Fが懲らしめられるシナリオを用意してもいいんじゃないかと思い、とある特殊なシナリオが誕生しました(詳細は後述)。

トゥルーエンドで星等はFから離れて幸せを掴み取るのですが、F、J、Cによるトラウマの弊害は社会的自立と時間経過と共に軽減することはあっても、完全には消えず、ふとした瞬間にぶり返すでしょう。先述の通り、それだけいじめ問題というのはタチが悪いものなのです。

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小野田について

トゥルーエンドへのキーパーソンの一人ですが、もともとは5/17に彼誰湖で自殺を試みたサラリーマンであり、基本的には彼誰湖で水死体となる運命を辿ってしまう人物です。しかしルートによってはひょんなことで星等に見つかり、自殺が回避され、楠樹講員となることで再起し、そして白銀森林保護協会へと転職し、最終的には部長に出世するほどになります。星等ほどではないですが、彼もまた、選んだ選択肢によって人生が大きく変わった人物の一人であり、そのきっかけを作ったのが星等なのです。彼にとって星等は間違いなく命の恩人です。そしてルートによっては(来世の白夫婦の絵と北極星の絵を描いていれば)彼が星等の窮地を救うことになります。誰かを助けたり手を差し伸べたりすると、逆に自分が困った時にはその人が助けてくれることもあるということです。
人物像としては、真面目で考えすぎてしまうところがあり、少し流されやすいが、基本的には優しくて実直な一面を持っているといった感じです。自殺を考えたり、楠樹講に入信したり、再起後は順調に出世している所からもそう言えるでしょう。

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河村和史について

トゥルーエンドにて最後に星等を助けるきっかけとなった、白銀森林保護協会の他事務所でイラストレーターである乾の兄の友達。少し気になっている男性として星等に挙げられていますが、実は楠樹講幹部の河村靖朝の息子なのです。つまり楠樹講には関わらずに本土で暮らしている青影島先住民の末裔の一人でもあり、星等と共通しています。父のことは信心深いと思いつつも関係は良好で、楠樹講のことも容認はしているようです。

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白銀森林保護協会について

本土の白銀日向(しろがねひなた)市にあるNPO法人で、青影樹海を含めた森林保護活動(提言、交渉、推進など)をしています。小野田や河村和史のような楠樹講と関係する人物が働いていますが、組織としての楠樹講との繋がりはありません。ただ、双方の環境保護の観点の微妙な違いから、衝突こそ無いもののお互いを意識し合っていると同時にあまりよく思ってはいない状態のようです。なので小野田は社内では自身が楠樹講員だと打ち明けていません(星等の前では言ってしまいましたが)。小野田や河村和史は、白銀森林保護協会と楠樹講の共存をひそかに目指しているようです。

ゲーム内における星等の終着点であり、星等の長所が正当に評価される唯一の場所となっています。もしここが存在しない世界の星等にはどんなハッピーエンドが待っていたのでしょうか…? 特進クラスから普通クラスへ降りて再登校する、おしろい学級へ戻って乾やクラスメイトとともに頑張り直す というように、意外と候補があることに気づきます。つまりハッピーエンドとは一つではないのです。
ただし、こういうことに気付きやすいのは外野だからこそという側面もあります。困難にぶち当たっている当人はしばしば盲目的になってしまい、物事を包括的に捉える余裕がなくなっていることが多いです。そして選択肢を自ら狭め、行き詰まるという悪循環に陥ってしまうのです。
(白銀森林保護協会で生きていく結末をこのゲームのトゥルーエンドとした理由等は後述の項にて)。

組織名や市名に含まれる「白銀」の由来は、白の上位にあるイメージからつけられました。天空都市の正体としてふさわしい色であり、白地濱市を凌ぐ領域であることを暗喩する色であると思います。<

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トゥルーエンドについて

白銀森林保護協会で生きていく結末をこのゲームのトゥルーエンドとしたのは、星等の長所や困難を乗り越えてきた経験が活かせる場所であり、将来は本土で暮らすという母の願いに沿う場所でもあり、島を巣立って本土で生きる展開が自立したことを強く印象づけるものであり、住人になりたいと憧れていた天空都市の地であるからです。

再登校して星等がFと和解したり、星等がFと戦って勝つことによるトゥルーエンドにするつもりは最初からありませんでした。
創作世界ではよくありがちなのですが、現実世界ではなかなか無い例だと思うからです。作中で星等も語っている通り、作者自身もFに対抗すること自体が無駄(時間、労力ともに)だと思っていて、もっと居心地の良い場所、もしくは居心地を良くできそうな場所を探すことに時間と労力を割くほうが良いと思っています。「逃げる」のは負けを認めたみたいで悔しい、と思う人もいるかもしれません。でも、トラウマ級のストレスを感じながらFに対抗することは勝機が薄いと思います。さらに悔しい思いをしてトラウマの量をさらに増やす可能性が高いです。なのでその環境からは一旦「逃げ」て、もし自分が負けてると思った部分があるのなら、その後試行錯誤しながら少しずつ自分を矯正していく生き方のほうが利口かと思います。

……面と向かって立ち向かうのではなく、何か陰湿な嫌がらせを一度思いっきりしてから、本人に気づかれる前にその環境を後にしてもうそこには戻らない……これはアリか? ん~、ナシではないかもしれません。絶対に仕返ししたいならそれかもしれません(時間と労力をあまり割かない復讐だからです)。ただ、相手には自分がやったと特定されることは間違いないでしょうし、いつ返り討ちに遭うかビクビクしながら過ごすことにはなりそうです。
その路線でいくと、殴って停学になってもう戻らない……というのも浮かびます(どちらかというと男の発想で、星等はしないでしょうが)。
まぁこの話はこれぐらいにしておきます…。

ちなみにトゥルーエンドルートの最終日である3年後の11/7というのは、別ルートの統合失調症シナリオの最終日と一日違い(3年後の11/6)であり、対比となっています。

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トゥルーエンドでのクレジット中の絵について

これは不登校になったばかりの頃の星等が描いた絵です。星等は三学期中頃から不登校になっており(最序盤に記載あり)、右下に書かれた「2/11」という日付がそれを表しています。
絵にはたくさんの星が描かれていますが、先述の通り「星等」という名前自体に「夜空に輝く星と同等の存在に育ってほしい」という母の願いが込められていることから、星等自身もまた星そのものを表していると捉えることができます。
たくさんの白い星の中に少しだけ青い星や青白い星が混じっています。これはたくさんの都会人(白)とともに輝く樹海人(青)を暗喩しているように見え、かつての星等が望み続けたことともリンクしています。トゥルーエンドにて晴れてその願いが叶ったという演出になっています。

そして同時に、トゥルーエンドの最後で描かれたとされる絵(楠、コスモス、小鳥たち、北極星などに囲まれた白い一軒家に暮らす星等とその彼氏の絵)もまた、星等の輝かしい未来を表すもの……かもしれません。

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トゥルーエンドの最後の文
「そんな星等のカバンの底にはまだ、くたびれた輪縄が眠っていたのだった――――。」

星等はどれだけ順風満帆であっても、自殺という最終手段を完全には捨てきれないのです。「いつでも死のうと思えば死ねる状況の方が、自分としては安心だからだ。」ある意味輪縄は星等にとっての精神安定剤の一つなのかもしれません。

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統合失調症ルートについて

特殊なシナリオの一つ。5/23に行った祠に「祈らない」場合、石原の「人生いろいろあるよな。でも生きてたらなんとかなるもんよ」というアドバイスを胸に抱き、苦しみつつ生き続けることはコスモスと小鳥を殺した贖罪にもなると信じて不登校(ニート)生活を続けるが、徐々に精神が壊れていき、3年経過した頃の星等はもはや統合失調症のような精神状態になってしまっていたという特殊なシナリオです。歪んだ表示文字とピッチを微調整したBGMにくすんだ色の背景、というようなこのルート独自の演出が施されています。
断定してはおりませんが、幻覚、被害妄想、一貫性のない思考など統合失調症っぽい症状に侵されてしまい(メモリーの概略にはこう書いています)、光の射さない天惠井戸に身投げしてしまう結末です。
「人生いろいろあるよな。でも生きてたらなんとかなるもんよ」という石原のアドバイスは半分正しいのですが、もう半分はそうとは限らない上、言葉足らずです。星等は間違って解釈した結果、「今の生活をただ続けていればいつかなんとかなる」を実行してしまいました。「直面している問題に対して試行錯誤をしながら、でも結果を求めすぎず運に任せて気楽に生きるべき」という意味であれば概ね正しいと思います。
ちなみにこのルートの最終日である3年後の11/6というのは、トゥルーエンドルートの最終日と一日違い(3年後の11/7)であり、対比となっています。

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F殺しルートについて

特殊なシナリオの一つ。アルバイトを無断でバックれた自責感と、白夫婦が死んだ絶望感と、F、J、Cに対する憎悪が混ざり合い、そんな星等に「悪魔が取り憑く」ことによって引き起こされる特殊なシナリオです。作中でも「悪魔が取り憑いた」「悪魔が宿った」という表現がありますが、これは比喩ではなく直接表現です。このゲームで唯一容認されたオカルト展開なのです。
Fの項にもあるように、Fは通常のシナリオでは決して懲らしめられることがないので、アドベンチャーゲームの特長を活かして、星等の手でFを懲らしめる特殊シナリオを作ろうと思いました。しかし、それでもあまりにも現実離れしたような展開にはしたくなかったので、星等がFに手を下すとしたらどんな手段が浮かぶかを考えました。気が晴れる仕返しや復讐に何を思い浮かべるかは男女で違うと思っていて、男は物理的暴力、女は精神的暴力が優先して浮かびがちかと思っています。作者は男なので、Fをボコボコに殴れるシナリオがスカッとしていいなと思ってしまいますが、星等はおそらくその発想にはならないし、身体能力的にも実行できないはずです。かといって、巧みな精神的暴力ができるタイプでもありません。…となると、筋肉も言語力も必要なく、返り討ちにも遭いにくい刺殺という手段しかないと思いました。 ただ、仮に星等がそれを思いついたとしても、実行する気力が起きるとは思いません。気が弱くて病んでいる人間が気が強くて病んでいない人間に立ち向かうケースはほとんどなく、ましてや刺殺などという大胆な行動をするとなると決断までにかなりの時間を要するはずです。作者は少なくとも、星等がFに対して積極的行動を取るまでの経緯があまり想像できませんでした。なので、「悪魔が取り憑く」というオカルト要素を作り、星等を強引に行動させることにしました。巴閒神社の絵馬にF、J、Cの名前を書いた後に「こいつらを殺すことをこれからの目標にしよう。逮捕されてもいい。ホームレスになってもいい。病気で早死にしてもいい。とにかく生き続けてやる。こいつらを殺して、ただ生き続けてやる。」と決意するほどまでになります。
しかし星等はFが絶命した後、悪魔が消え失せて急激に我に返ります。そして罪悪感に耐えきれず、自害する結末になります。このゲームで最も無残なバッドエンドです。どれだけ相手が憎い人間であっても、人殺しをして罪悪感を感じずに生き続けることなど星等には無理だったのです。

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日を跨ぐデジタルカレンダーとそれに表示された6と7と9について

デジタルカレンダーの左下にはブランド名のような「EROSION」の文字があります。これは「侵食、衰退」を意味するちょっと不穏なものです。何か意味があるのかと思いきや、何もありません…。何かと掛けたかったのだと思いますが、結局何も掛かっていないです。あしからず。
不穏といえば、このような7セグメントディスプレイと呼ばれるデジタル表示形式において一部の古いタイプでは6と7と9がこのように表示されます。現在一般化している形とは少し違うのです。なぜ古いタイプにしたかというと、作者が昔見た何かの洋画に出てきた時限爆弾の残り時間を表す表示がこの古いタイプで、とても不穏なイメージを植え付けられたから…という私情によるものです…w 終始陰鬱なこのゲームには(個人的に)合ってる気がしています。

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ほとんどのキャラが一期一会であることについて

コスモス、青ちゃん、白夫婦、外園など星等の心の支えとなる存在のほとんどが短命もしくはすぐに退場することになります。たとえ一期一会で儚い接触だったとしても、星等の心にはしっかりと刻まれています。
良い巡り合わせだけでなく悪い巡り合わせも、一度きりだったりすぐに離れてくれるケースも多いと思っています。

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一部の地名の漢字が旧字体であることについて

巴閒神社、天惠井戸、靑祇外苑など正式名称が旧字体で書かれているものがありますが、これは歴史を感じさせる雰囲気を出したかったためです。表記するだけであれば新字体を使用して「巴間神社」「天恵井戸」「青祇外苑」と綴っても構いません(ちなみに「祇」はこのままで問題ありません)。

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その他

朱火空の中心にある直径1m、直径50cmほどの2つの円形の窪みについて

「少ない燃料で強い炎を維持し、かつ煙もあまり出さない効率的な焚き火の技法で使われた穴の跡」と作中では説明されていますが、これはダコタファイアーホールと呼ばれる手法の一つで、北米のネイティブアメリカンがルーツのようです。


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5/13洞窟以降の選択分岐と5/28朝の選択分岐には全く同じ結果のものがあります

このゲームでは往々にして「同じ展開のように見えるけど片方に特殊なフラグが立っている」という現象がありますが、この2箇所に関しては同じ結果のまま通過するルートが複数存在します。
5/13洞窟以降に進むルートは、洞窟で熊に襲われるルートか、夜の汀空で熊に襲われるルートか、家に帰るルートの3択になります。「入り口を覗く」と「さらに雨が止むのを待ってみる」を選んだ後にそれぞれ異なる2つのバッドエンドがあり、「洞窟に入らない」場合と「洞窟に入る」の後「雨を気にせず帰る」場合は全く同じ展開になります。 5/28朝に進むルートは、アルバイトをやるか、おしろい学級に申し込むか、さらに他を探すかの3択になります。「さらに他を探す」の対の選択肢である「参加しない」を選ぶと、その展開通り「おしろい学級に申し込む」を選んだのと全く同じ展開になります。

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5/13の「鏡餅のように重ねられているそれぞれ大中小の円形の小石がいくつか置かれているのを発見した。」

「目的地まで近い」を表す追跡サインです。シリアルキラーの一人がこの先にテントを建て、後に来る仲間のために作られたものです。
追跡サインに関しては図書の「ボーイスカウト用語辞典」内の記載の通り。

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5/13「さらに進んだ先には、主に樹海に侵入した人が捨てたであろうタバコの吸殻や安物のTシャツやゴム手袋の切れ端などがいくつも落ちてあった。」

これもシリアルキラーによるものです。

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5/17「突然近くに何かがピチャッと落ちる音がした。鳥の糞だった。上空を見ると、小鳥の群れが北の空へ飛んでいく姿があった。」

別ルートでこの小鳥たちは後に朱火空へと降り立ち、青ちゃんを襲うこととなります。

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5/23「でも一つだけ、心残りがある。青ちゃんは家に帰っていたのだろうか。」

樹海で青ちゃんが飛び去った場合はいずれも帰ってはきません。

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5/23「外園(とぞの)以外の他のQRコードも読み込んでみたが、河村靖朝(かわむら・やすとも)、玉崎寛(たまさき・ひろし)、臼井顕広(うすい・あきひろ)、表治郎(おもて・じろう)という知らない人のマイページに飛ぶだけであった。」

5/23に楠樹講に入信し、さらに東のテントの方へ行かずに北へと進んだ先のルートにのみあるレアな文章です。入信してない状態でそのルートに進んでもこの文章は出ません。入信しててもしていなくてもこの後の結末に差はないため、余計に見逃しやすいでしょう。
楠樹講の幹部の名前が一挙に出されており、このうち河村、玉崎、臼井は別のルートにて登場します(河村は名前のみ)が、表治郎は登場しません。

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5/29「ふと、テントの入り口付近に太めの枝がいくつか置かれてあるのを見つけた。ただ置いてあるのではなく、矢印の形に置かれている。ような気がする。そうだとすれば、ここから東の方向を指し示している様子であった。」

星等の想像通りテントの東側を示した追跡サインです。シリアルキラーが作った5/13のものと同様、テントから「作業場」への場所を示したものです。シリアルキラーたちはまさにこの時、ここから東側へ進んだ場所で遺体を焼いて遊んでおり、別ルートにて星等がその現場に出くわし、襲われてしまうことになります。

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11/6「そして奉納所へ行き、F、J、C、母、石原、小野田、上神(うえがみ)、橘宏大(たちばなこうた)、宇佐美梢(うさみこずえ)、そして樹海の動植物たちへの怨念をマジックペンで綴った。」

恨んでいた人だけでなく無関係な人から信頼していた存在までも敵と錯覚してしまっている状態です。石原や小野田の名前があることから、あれから3年半の間に彼らに出会っていることが分かります。さらにジョークダムのリーダーである橘宏大に対してもやっかみをしています。
ちなみに上神、宇佐美梢という、どのルートにも出てこない人物の名前があります。上神は「上神内科医院」という内科の院長であり、実は団地の背景の中央の電柱についた広告から存在を確認できます。宇佐美梢はジョークダムのメンバーの紅一点で、「バニー」という呼称だったりします(詳しくはジョークダムの項にて)。

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反省・展望

反省点はありますか?

特に失敗とは思っていませんが、テキストアドベンチャーゲームという方向性じゃなくても良かったんじゃないか…とは思ってます…w もともとは「陰鬱でシリアスなゲームにしよう」というコンセプトなので、テキストアドベンチャーゲームでもRPGでもなく、作り慣れているアクションゲームをベースにして作っても良かったんじゃないかと。
テキストアドベンチャーゲームは生まれて初めて作った上に、同ジャンルの他のゲームをほぼしたことがなく基礎がついていない上に、独特な要素が多すぎてクセが強い内容になったことを自覚しています…。トゥルーエンドを見るだけならまだしも、全エンドを回収するとなると攻略なしではかなり分かりにくいフラグがあったり、選択肢がほとんどないパートが選択肢と選択肢の間にあってテンポが悪い部分があったり、トゥルーエンド未遂のバッドエンドが3つもあってそのフラグを立てる選択肢がかなり遠くてあまりユーザーフレンドリーじゃなかったり…。良くも悪くも個性的なゲームになってしまったのは否めないです。アクションゲームとして作ったのなら、ストーリーはともかくアクション要素で楽しませることができるため、まだ万人に進めやすいものになったのかなと思います。(……少しでも万人に受けたいと思いすぎですかね?)
ただ、不登校やいじめ問題と向き合い、星等の喜怒哀楽を表す膨大なテキスト量(30万文字以上)を詰め込むというのは、アクションゲームにしていたらまずやらなかったでしょうw なので、後悔はないです。

(ちなみにこの裏話ページで打った文字も3万文字を超えています…)

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今後の展望は?

今後はアクションアドベンチャー(アクション難易度が低くアドベンチャー要素が強い)と無題3を並行でダラダラと作っていくつもりです……お楽しみに。

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